×
計画地は国道沿いの国宝大崎八幡宮に近接する商店街通りにある。さらに裏手には旧四ツ谷用水跡地(現在は遊歩道) へとつながる階段がある、性格の違う2つの通りに挟まれるユニークな敷地であった。この2つの通りを如何にプランに反映させるかが本題となった。
人や車の往来が多いメイン通りからの視線や騒音を遮るように設けた塀を抜けると、通り土間の玄関へとつながる。玄関は狭いながらも上下に接照明を配置し空間を広く見せる工夫をしている。間口が狭く、外部と閉鎖的なアプローチとは対照的に通り土間からコートテラス、さらには裏手の歩道へと、敷地内部は外部環境も含めたプランで広がりを持たせてる。
住宅内部もコートテラスを中心としてダイニング・キッチン・リビング・和室が一体として機能している。リビングの一角に設けられた書斎コーナーには、TV台と共用の家具が造り付けられ、必要最小限の収納を確保している。客間としての機能も付加した和室には専用の庭園、縁側が配置され、特別な空間を演出している。さらに上部には、施主の大量の本などがしまえるロフトも完備している。ルーバーにより外部から遮断されたコートテラスによって採光・通風を確保した寝室は、落ち着きのある空間としている。
敷地外環境→敷地内環境→住戸内環境というヒエラルキーに建築的な連続・不連続をつけることでコンパクトな室内空間の領域を広げる工夫ができた。