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仙台市郊外の小高い丘に立つ「2世帯住宅」です。小高い丘の先端に位置する敷地からはどこまでも遮蔽物の無い景色が広がっています。
オーナーからの要望は、まずリビング、ダイニング、キッチン、寝室を南に面すること。ご主人の書斎は庭から直接行き来できること。そしてご主人のお母様の部屋は東側に設けることでした。敷地の地盤を調査したところ、西側擁壁から約1.5m、南側擁壁から1.5mが敷地造成時の軟弱な盛り土でありそれ以外が強固な地盤であることが分かりました。しかし、要求されているスペースを敷地にレイアウトしていくと、ご夫婦の寝室が軟弱な盛り土部分を覆ってしまいます。そこで、ご夫婦の寝室を2.6m持ち上げ、オーバーハングさせることにより、強固な地盤にのみ建物を計画し、駐車場から玄関にいたるさしかけ空間を確保しました。重力から開放されたような宙に浮いた寝室は、この敷地の軟弱地盤という負の要素をポジティヴに捉えた形態であり、下部のさしかけ空間とどこまでもつづく仙台平野を望む最高の景色を獲得しました。それぞれの空間は決して大きくありませんが、南側の風景を積極的に内部空間に取り込むことにより、実際の広さ以上の広さを実現しました。