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仙台市中心部を流れる広瀬川の河岸段丘の最上部に建つ住宅。
景観条例の規制対象区域に位置し、緑化保全のため敷地の30%以上の植樹可能な空地を確保すること、建物の色彩は景観に配慮し指定の色相、明度、彩度の中から選定するなど非常に細かいルールが設定されている。
広瀬川が長い年月をかけ侵食し形成した大地をオマージュし、景観条例が示す通り広瀬川を主とした風景を形成し、昔からこの地に存在したような極力形態に恣意的なものを排除した、広瀬川の背景となる建築を目指した。
建築ヴォリュームに敷地と道路の高低差を引き込むことにより国道側のアクセスのバリアフリー化を実現するとともに、単純な矩形ヴォリュームにひずみを生じさせる。ひずみの生じたヴォリュームから公的空間である整体院と私的空間である住居をくり抜く。両空間の間に生じたひずみに緩衝空間としてスタディスペース、ファミリーシアターを挿入することで、単純ヴォリューム内に多様な空間を共存させた。
広瀬川により削り出された大地の内部に創出されたそれぞれの空間には、広瀬川沿いの豊かな自然や仙台市中心部の高層ビル群を望む開口を設ける。
高低、明暗様々な空間が洞窟のように連なり様々な角度から入射する風景、光、風により日々の何気ない生活のなかに新たな発見をもたらすような多様性を内包する直方体の住宅である。