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本計画は慢性腎臓病と生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症)の治療を主体とした人工透析設備を備えた内科クリニックです。病院という一般的な負のイメージをいかに払拭し、新たな病院の姿を形成するか、長時間の辛い人工透析治療に対し、いかに安堵感を得て臨むことができるかが主な課題となりました。
新たに開通する地下鉄東西線の六丁の目駅に近く、また、産業道路沿いという立地から、この地のランドマークとなるようにコンクリートの巨大な塊に様々な色、形のタイルが張り付いたパッチワークのような外観としています。
従来の効率重視の無機質な形態から、重力から開放されたような自由な造形により、病院の負のイメージを払拭し、患者さんが通院、治療に対してポジティブに向き合うことを目指しました。また、内部は、白を基調とした仕上げに心を落ち着かせる効果のある色の壁を所々に配置することで患者さんに安堵感と心地よい驚きを提供しています。
透析室は、電球色の蛍光灯による間接照明とそれぞれのベッドの位置に調整した個別のダウンライトを採用し、長時間の透析治療時のストレスを軽減するように配慮しています。
価値感が多様化する現代社会において、効率重視の既成概念による医療施設から脱却し、通院時、待合時、診察時、治療時のメンタルケアに着目することで、新たな医療空間の姿が見えてくることを示した建築です。